田舎で育った自分にとって、東京とは人で溢れたコンクリートジャングル。
ずっとそう思って敬遠してきた。
大学進学時も候補地から真っ先に外したし、大学進学後も茨城から遊びに出かけたことは数えるほど。
しかし、先日の記事で書いたとおり、私の好みは揺れ動く。
東京と言っても広く、地区によって、もっと言うと時間帯によって印象を変える。
ここ数年でようやくそのことに気づいたのだ。
というわけで、比較的緊張しない東寄りの地域、カチクラを散策してきた。
下町らしいパン屋でフルーツサンドを買って、そばの公園で食べようとしたら、向かいにコーヒーショップがあった。
ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前。
長い…。でもなんか聞き覚えあるぞ…。
先に思い出したのは妻だった。
バラエティー番組の『行ってQ』で出川がニューヨークで目指していた目的地だ。
意識の高そうな若い店員さんたちがワイワイしながら働いていた。
遅めの朝食をとった後、向かった先はノートをオーダーメイドできる文房具店の『カキモリ』さん。
ところが開店を攻めたのにすでに行列をなしていて、待ち時間は40分程度とのこと。
そこまで待ってまで欲しいものではないので、ペンとノートを何本か買って店を出た。
写真はカキモリさんとは関係のないお店の軒先。
何の変哲もないビルの入り口に祀ってあった陶器の狛犬。あるいは獅子。
そうそう、こういうのを求めていたんだよ。
下町風情に溢れた光景を。
路地を横に入ると、上述したオシャレな店ではなくて飾らない町の暮らしがある。
そういうものを垣間見ると、東京に偏見を持っていた自分なんかは安心する。
東京にも気取らない生活があるんだよな、と。
桜は最終回にしたはずだが、これは牡丹桜ということでご勘弁を。
今年になって初めて知ったが、ソメイヨシノは原木が見つかっておらず、接ぎ木しないと自生しない、ちょっと不気味な品種らしい。
私の職場では、ソメイヨシノから科学的にも解明できない妖しげな物質が放たれていて、世の人々を惑わすと噂されている。
蔵前から御徒町に向かう途中で、おかず横丁という商店街を通った。
人通り、通りの長さ、道幅。どれもが心地よい。
アーケード通りには独自の良さがある。
しかし、この日当たりがあってこそのベンチですよね、ムッシュ。
横丁から一本それると、ここも東京?と驚きつつ頬のゆるむ光景が。
道路の真ん中で豪快に自転車を丸洗い。
これまた堂々と停めた自家用車の上には布団が干してあった。
まだまだ私の偏見を覆す東京の姿がありそうだ。