絶好の機会

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amuroikimasu.hatenablog.com

 

潮干狩りの帰りに出会った仏のような人に、車のトラブルを救っていただいたあの日。

受けた恩恵を別の誰かに返そう。

そう心に誓っていたら、思ったよりも早くその機は訪れた。

 

出勤しようと駐車場を出る私の前に、近所の見知らぬ女性が立ちはだかった。

何かしでかしたか?と焦ったが、

「お急ぎのところすいません。

 バッテリーが上がってしまったので助けていただけませんか?」

ということだった。

 

たまたまその日は午前の仕事にゆとりがあったのも何かの縁。

「どうすればいいですか?」

バッテリー切れの解決法をよく知らない私は、手際よく接続ケーブルを持ち出す女性に言われるがままに車を近づけた。

ものの5分か10分で女性のクルマのエンジンがかかった。

 

「お礼もできなくてすいません。助かりました!」

そう仰った女性に、私はただ「いいえ、大丈夫ですよ」と返した。

その後、車を走らせながら、ふと思い出す。

 

「いいんですよ。

 僕もむかし車のトラブルで助けてもらったことがあるので。

 もし今度、同じように困ってる方がいたら助けてあげてください」

 

あの決め台詞が咄嗟に出なかったことを呪った。

でも、あの女性なら困っている人がいたら、きっと助けることだろう。