無駄ゆえの

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ボンネットから今にも発射されそうな銛の形をした装飾。空気抵抗(Cd値)を間違いなく増加させているヘッドランプ上部の庇。複雑な造形のバンパー。

 

機能性から言えば無駄の塊なのだが、キューバのユルさと相まってロマンの塊に見えた。

 

今の自動車業界では、燃費や安全性能、そして生産効率といった要素が重要視されている。デザインの優先順位は明らかにそれらよりも下だ。結果として、腰高なんだけど低く見えるデザイン、寸詰まりなんだけど長く見えるデザインといった錯覚をアテにしなければならない窮屈さがある。自由度の低い中でいかに美しく魅せるかというのもデザイナーの腕の見せ所ではあるけれど、さすがに窮屈すぎる気がする。

一方で、効率性を追い求めるあまり、枚挙に暇がないほどたくさんの企業で偽装工作が発覚している。

 

徹底的に無駄を省こうとする社会。もはやユルくては生き残れず淘汰される社会。

フィルムカメラも然りだ。

そんな世の中が当たり前になっていた分、キューバで感じたユルさは想像以上に自分の価値観に食い込んで抜けない。

 

無駄ゆえの価値。非効率ゆえの美。

とかなんとか考えていたら、Yashicaからヘンテコなカメラが生まれそうだ。

 

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