仕事柄、多くの人と話をする機会に恵まれる。
ある女性が「この辺りで時間を過ごす場所はないですか」と尋ねた。
「近くに大きな公園がありますよ」とそれほど深く考えずに返す私。
数日後、「蓮の花が綺麗でした」との感想を頂いた。
それを聞いて、公園の池に蓮が浮かんでいることを初めて知る。
それからさらに何日か経ったある日。
雨模様のため、撮り歩きを躊躇していて、ふと蓮華のことを思い出した。
蓮の花と雨。悪くない組み合わせだ。
訪れた公園は閑散としていた。
私のほかには、傘を差して元気よく闊歩する年配女性がただ一人。
習慣であるウォーキングを、雨を理由に休みたくない、そんな真面目さが窺える。
池に浮かぶ蓮の葉とそこに跳ね返る小さな雨粒。
見つめる私のそばを、颯爽と過ぎ去るご婦人は、橋を渡って向こう岸へ。
ご婦人のお力添えもあって、雨の公園の情緒を収められた気がする。
冒頭の女性に今度会ったら「雨の日も雰囲気がある公園でした」と返しておこう。